2024年の全国企業倒産集計
帝国データバンクから2024年全国企業倒産の集計結果が発表されました。
2024年の企業倒産は9901件で、前年比16.5%増でした。
当事務所にも例年になく多くの事業再生・廃業支援のご相談がありましたので、私の体感的にはさらに急増している感覚です。倒産原因はさまざまですが、「後継者不在+ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」が多いようにみえます。
ご相談をうかがっていて、「残された資金や時間が不足していて、採りうる選択肢が少ない」「もっと早く相談していただければ事業再生の見込みがあった」と悔やまれるケースが多いため、早期相談の重要性についてお話ししたいと思います。
事業再生の見込みがある段階
- 黒字にはなっているが、金融返済までは足りない
- 黒字部門もあるが、全部門トータルでは赤字
- 現状は赤字だが、他社が経営すれば黒字になるポテンシャルは持っている
これらの段階では事業を残すチャンスがあります。
とはいえ、従来の経営者による経営改善をいつまでも待ってもらえるわけではありません。
金融機関から「従来の経営者に十分な時間はあった。これ以上は待てない。」と判断されてしまった場合には、新たなオーナーへの事業売却を目指すことになります。我が子を里親に託すような断腸の思いだとは思いますが、社会(従業員・顧客・取引先)のために事業を活かす決断ですので、それは立派な親心だと考えます。
典型的には、中小企業活性化協議会の仲立ちを得つつ、金融機関におうかがいを立てながら、納得感のある売却プロセスを目指します。地方での中小企業の事業再生案件では協議会の仲立ちはほとんど必須とも感じます。
廃業を決断する段階
譲渡先がみつからないまま、資金繰り破綻の予定日が近づくと、組織を維持できないことが濃厚になってきますので、残念ながら廃業(組織の解散)を決断せざるを得なくなります。
なかなか諦めがつかないお気持ちは重々分かりますが、支払うあてのない経費(給与・仕入・外注費など)を使い続けることは、それまで協力してくれた方々に迷惑を増やすことを意味します。支援者が現れなかった現実を認め、支払えない負債の拡大をせめて回避することもまた経営者としての英断といえます。
破産によらない廃業が目指せる段階
廃業を決断したとしても、残された事業資産を換金して、次の支払が完済できるような場合には、金融機関の理解を求めながら、破産によらない廃業が目指せる可能性があります。つまり、金融負債だけが払いきれないという場合です。
- 税金(進行年度の消費税含む)・社会保険料
- 給与・退職金
- 仕入代金・外注費・賃料などの商取引債務
破産を選択せざるを得ない段階
他方で、金融負債以外の負債も完済しきれない場合には、原則として、破産による整理を選択せざるを得ません。
その場合でも、最低限、破産費用(弁護士費用+破産管財人費用)が必要です。
残された資産や負債規模などにもよりますが、従業員10名未満の会社でも、破産費用は最低300万円を見積もっておく必要があります。事業規模がこれより大きければ、さらに必要となります。
そして、これに加えて給与2ヶ月分(最終月給与+解雇予告手当)が残されていないと、従業員への支払が完済できないままの破産となり、大変心苦しい結末となります(国から8割補償される制度がありますが、条件を満たさない場合が一部ありますし、支払時期も数ヶ月後になります)。
したがって、本来であれば、従業員10名未満の会社でも、遅くとも流動資産が300万円+給与2ヶ月分を下回る前にはご相談いただかなければいけません(これでもまだ賃借物件の退去費用を見積もっていない状態です)。
「まだそんなに資金が残っている状態で諦めるの?」という感想を持たれるかもしれませんが、破産費用が用意できずに破産できない場合、債権者側にとっても諦めがつかず、代表者を捜し求めて督促・取立てが止まない日々が続きます。
弁護士にとっての「早期」までにご相談に辿り着かないケースが多いことを日々痛感しているため、今回この記事を書きました。多くの関係者の社会的損失が少しでも緩和されるように、早期の相談をお願いいたします。