山梨・甲府で個人再生するには|住宅ローンを払いながら借金を整理する方法を弁護士が解説
執筆:弁護士 中川泰徳(つきあかり法律事務所)
この記事の結論
- 住宅ローンを払いながら、それ以外の借金を最大5分の1から10分の1程度に減額できるのが「個人再生」です。
- 甲府地方裁判所では、原則として再生委員が選任されない運用のため、他地域と比べて手続費用の総額が抑えられる傾向があります。
- 申立てから認可決定までの期間は、甲府地裁ではおおむね4〜5か月が目安です。
個人再生とは何か
個人再生は、住宅ローンはこれまで通り払い続け、その他の借金を10~20%に減額して3~5年で分割返済していく債務整理の方法です。
自己破産と違い、住宅ローンが残っている持ち家を手放さずに済む点が最大の特徴です。
これは「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を使うためで、個人再生を選ぶ多くの方がこの制度の利用を前提にしています。
減額のイメージ
負債額(住宅ローン除く)に応じて、法律上の最低弁済額が決まります。
- 100万円未満 → 全額返済
- 100万円以上500万円未満 → 100万円
- 500万円以上1,500万円未満 → 借金の5分の1
- 1,500万円以上3,000万円未満 → 300万円
- 3,000万円以上5,000万円以下 → 借金の10分の1
ただし、保有資産額(清算価値)がこの最低弁済額を上回る場合には、保有資産額が返済額の下限になります。
たとえば、負債額500万円は本来100万円まで減額可能ですが、自動車100万円+預金50万円の保有資産なら返済総額は150万円までしか減らすことが許されないルールです。
個人再生が向いている人
次のいずれかに当てはまる方は、個人再生の検討価値が高いです。
- 住宅ローンを払い続けて自宅に住み続けたい
- 住宅ローン以外の借金が重くて生活が回らない
- 安定した収入がある(または回復の見込みがある)
- 自己破産だと職業制限で仕事に支障が出る(保険外交員、警備員、一部の士業など)
- ギャンブル・浪費などで自己破産の免責が得られにくい事情がある
逆に、収入が不安定で返済計画を立てにくい方や住宅ローンがそもそも収入に見合っていない方には向きません。
甲府地裁での個人再生|他地域との違い
個人再生は、裁判所を利用する手続です。
甲府地方裁判所の特徴は次の3点です。
1. 個人再生委員が原則つかない
東京地裁のように、個人再生委員(裁判所が点検役として依頼する第三者弁護士)が必ずつく運用と異なり、甲府地裁では再生委員が選任されないのが原則です。再生委員がつく場合、報酬15~25万円が必要になりますが、甲府地裁ではこの費用が不要になるケースがほとんどです。
これは申立人にとって金銭的にも手続的にも大きなメリットです。
2. 申立てから認可決定まで4〜5か月
申立書を提出してから再生計画の認可決定が出るまで、甲府地裁の標準的なケースでおおむね4〜5か月です。
申立て後、裁判所が「本当にこの人は返済を続けられるのか」を確認するために、再生計画案で予定している毎月の返済額と同じ金額を、4か月連続で積み立てることが求められます。これを履行テストといいます。
積み立てた金額は最終的に本人に戻ります(費用として没収されるわけではありません)。
ただし、途中で積立が滞ると「返済能力なし」と判断され、手続が打ち切られるリスクがあります。
住宅ローン特則を使うための要件
個人再生で自宅を守りたい場合、住宅ローン特則の利用が欠かせません。利用には次の要件を満たす必要があります。
- 申立人本人が所有する住宅であること
- 申立人が主として居住する住宅であること(別荘や投資物件は不可)
- 住宅ローン以外の担保(抵当権など)が設定されていないこと
モデル事例:店舗兼住宅に住む個人事業主のケース
※ 架空のモデルケースです。
依頼者の状況
- 40代男性、山梨県内で店舗兼住宅(1階が店舗、2階が住居)を所有する自営業
- 家族構成:配偶者(パート勤務)、子ども2人
- 債務総額 約2,800万円
- 住宅ローン 約2,200万円
- 開業資金の借入・カードローン・クレジットカード 計約600万円
- FX投資や暗号通貨取引にのめりこんで300万円の損失。カードローンを使い続けるうちに返済が回らなくなった
手続と結果
店舗兼住宅は居住部分が過半を占めていれば、住宅ローン特則の利用が可能でした。
配偶者パート収入と事業収入を合算すると安定した継続収入があると判断でき、小規模個人再生を申立て。
住宅ローンを除く約600万円の債務が、保有資産額144万円まで圧縮。返済は、月額4万円×3年間となりました。
住宅ローンは従来通り継続し、自宅兼店舗を維持したまま事業を続けることができます。
つきあかり法律事務所に依頼するメリット
破産管財人・個人再生委員としての経験
当事務所の代表弁護士 中川は、裁判所から選任されて破産管財人・個人再生委員を務めた経験が豊富です。これは「申立てを点検する側」の経験を意味します。
どのような申立てが裁判所から厳しく指摘されるか、逆にどの程度の工夫までなら許容されるかを、点検する側の感覚として把握しています。これは申立代理人としての業務の幅を大きく広げます。
IT化による負担軽減
個人再生は、提出書類の多さが依頼者にとって大きな負担になります。通帳、給与明細、保険証券、車検証、登記簿、家計収支表、債権者からの督促状など、「何をどこまで用意すればよいのか分からない」という不安が、手続着手を先延ばしにする最大の理由のひとつです。
当事務所では、LINEやメールで資料をお送りいただければ、そのまま事件ファイルに取り込み、申立書類の作成に反映できる仕組みを整えています。
ご相談を検討されている方へ
個人再生は「住宅ローンを払いながら借金を減らせる手段」です。
住宅を手放さずに借金問題を解決する方法として、検討する価値は十分にあります。
一方で、要件が複雑な手続でもあります。「住宅ローン特則が使えるかどうか」「小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらが有利か」「車を残せるかどうか」など、ケースごとに判断すべき点が多くあります。
まずは簡易診断のご予約をお申込みください。
当事務所でお受けできる案件か、どの手続が最適かを確認した上で、正式な相談に進みます。
お問い合わせ
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案についての法的助言を行うものではありません。ご自身のケースについては、必ず弁護士にご相談ください。